「膝の水を抜くとクセになる」はホント?
みなさんはこんなことを耳にしたことはありませんか?
「膝の水を抜くとクセになる」
この仕事をしていると、膝が痛いといって来院された方で特にご高齢の方は、膝に水が溜まっていないかどうかを心配されることが多いと感じています。
なぜ水が溜まっているかどうかを気にするのかということを聞いてみると、同年代のご近所の方や友達と話しているときに「膝の水を抜くとクセになるから抜かないほうがいいわよ」なんて話がよく出るのだそうです。
それで膝に水が溜まっている→抜かなきゃいけない→クセになっちゃうということを心配されるのだそうです。
これに対する私の回答は「膝に溜まった水を抜いても、それが原因でクセになることはありません」です。
なぜなら「膝に水が溜まる」という現象は、膝関節内で炎症が起こっているか出血がある場合に至るものです。
例えるなら、関節内の炎症や出血が火元(原因)で水が溜まった状態は煙(結果)です。
火の無いところに煙はたちませんよね?
膝の水を抜くというのはただ単に煙を頑張って散らしているだけなので、その発生源である火元はそのままなのです。
ただ膝の水を抜いただけで放置してしまうと、水が溜まる原因となった状態がそのままになってしまうのでまた水は溜まります。
火が燃え続ける限り煙が出続けるのと同じです。
では、膝の水を抜くのは意味がないことなのでしょうか?
もちろんそんなことはなくて、膝の水を抜くことでわかることもいろいろあります。
(出血の有無や骨折の有無など)
重要なのは「なぜ水が溜まったのか」の部分です。
「水が溜まっているから膝が悪い」ではなくて「膝が悪いから水が溜まる」だからです
関節内で炎症が起こった結果水が溜まったのなら、水を抜いた後に炎症を抑えなければいけません。
それを薬によって炎症を抑えるのか、包帯などで固定して安静にすることで炎症を抑えるのか、はたまた別の方法で炎症を抑えるのか、その方法は様々ありますが何かしらで炎症を抑えるようにしないとまた水は溜まります。
「水を抜くからクセになる」のではなくて「治してないから水が溜まる」なのです。
当院では、電気や超音波などを用いて膝の水を抜いた後の炎症の抑制を行います。
みなさんも「水を抜いたらゴール」ではなく「水を抜いてからがスタート」だということを覚えておきましょう。
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