シワやたるみをとる「ハイフ」、医師以外の施術は医師法違反に当たると厚労省が通知
みなさんは「ハイフ(HIFU)」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これは超音波を利用した機器(治療器)で、元々は前立腺がんの治療に用いられていたものが現在は美容目的に転用されています。
エステサロンや美容クリニックなどでシワやたるみをとる目的で使用されていますが、この「ハイフ」の使用に関して厚生労働省が今月7日付で、医師以外のものが「ハイフ」を使用しての施術を行うことは医師法違反にあたるという通知を都道府県に出しました。
消費者庁の消費者安全調査委員会によると、「ハイフ」を使用した事故は2015〜22年に135件発生しており、このうち火傷や神経・感覚障害、視力障害などで全治1ヶ月以上のものが24件あったとしています。
この「ハイフ」による事故に関しては私も以前見解を述べた記事を書いたことがありますが(現在はHPを切り替えた関係で記事は消えています)、「ハイフ」を含めた治療器は適切に扱わなければ当然人体に害が及びます。
当院でも超音波治療器を扱っていますが、設定は異なるものの「超音波」という物理エネルギーを用いている点では共通しています。
修行時代に超音波の危険性を確認するために、自分の脚に超音波で火傷を作る実験をしましたが、2分足らずで中程度の火傷(水脹れができるレベル)が作れました。
*実際に施術では用いない設定での実験です。現在私が施術で用いる設定では10分以上超音波を照射し続けても軽度の火傷すらできませんでした。
医師は当然原理や危険性を理解した上で使用する(はず)ため重大な事故が発生する確率はごく低いですが、美容クリニックやエステサロン等で医師以外が「ハイフ」施術を行う場合は、超音波や「ハイフ機器」の原理や危険性をどの程度理解・認識しているか定かではありません。
厚労省が今回の通知を出したのは、売り手(美容クリニックやエステサロン等)が売上だけに集中した結果だと私は考えています。
顧客の安全を優先していれば安易に手を出せる領域ではないにも関わらず、それよりも自身の売り上げを優先しているからこそ安易に手を出して顧客を危険に晒していると思わざるを得ません。
「ハイフ」に限らずですが、無資格者(医療系国家資格を持たない者)は最低限の知識も担保されていないため、我々資格者からするとめまいがするような主張も度々見受けられます。
脱毛施術もそうですが、機器を使用する施術に危険が伴うのは当たり前です。
今回の通知によってどの程度の影響が出るかはわかりませんが、今後顧客が不利益を被る事故が起こらないことを祈るばかりです。
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