病院で薬を処方されている方に

みなさんは身体の不調で病院を受診することがあると思います。


その際に薬(飲み薬・塗り薬・貼り薬など)を処方されると思いますが、この薬に関して重大な注意事項があります。


それは『処方された薬は処方された本人しか使ってはいけない』というものです。


これは『薬機法』という法律によるもので、正式な名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言います。


以前は「薬事法」という名称でしたが、平成26年に現在の『薬機法』に名称が変更となりました。


これに違反するケースは、「処方を受けた薬を他者に譲渡して対価を得た場合」例えば、フリーマーケットで処方された湿布を販売して対価を得るのは「医薬品の無許可販売」なので違法となります。


これに関しては、同法第84条9号の規定によって「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらを併科」という罰則が設けられています。


また、対価を得なくても違反となるケースもあり、それは「抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬などの処方薬を無許可で他人に譲り渡した場合」で、「麻薬及び向精神薬取締法」の違反になります。


これは「業として」の目的に限られないので、有償・無償にかかわらず、他人に処方薬を譲渡すると違反になるのです。

*「業として」とは、「反復継続し、社会通念上、事業の遂行とみることができる程度のもの」をいいます。


また、違反とならなくても、薬は年齢・性別・体格・体質・症状・他に使用している薬との兼ね合いなどさまざまな要素によって処方内容が決定されるため、家族であっても自分に処方された薬を他者が使うことは重大な健康被害につながる可能性があるため、絶対に他者に薬を譲渡しないでください。


他者に譲渡した薬で健康被害が出た場合、『医薬品副作用被害者救済制度』が適用されません。


この制度は「医薬品を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほど重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付を行う公的な制度」です。


この制度を受けるためには「医薬品を適正に使用すること」が絶対条件であり、処方された本人以外が医薬品を使用すること自体が適正な使用ではないので、制度が受けられなくなるというわけです。


このように、薬の譲渡はさまざまな面で不利益があるため、薬は必ず処方された本人のみが使用するようにしましょう。


当然、湿布も薬なので家族間での使用もダメですよ。

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