変形性関節症(関節の変形)に対する治療法
みなさん「変形性関節症」という言葉を聞いたことはありますか?
その名の通り「関節が変形する症状」です。
主な症状としては、関節の変形とそれに伴う動きの制限、そして痛みと腫れです。
イメージしにくいかもしれないので、手の指の変形を載せておきます。
変形性関節症はさまざまな関節で起こり、多いのは膝・指・背骨(腰)ですが、股関節や肘・肩・足首などあらゆる関節で変形が起こります。
変形の原因とされているのが「加齢(に伴う軟骨の水分含有量の低下)」「性別(女性、閉経後でホルモン:エストロジェンが低下することに起因)」「遺伝」「栄養不足」に加え、「筋力低下」「アライメント(関節の位置)不良」「肥満」「関節の過度な反復使用」があります。
関節は2つの骨が隣接して構成されますが、それぞれの骨には関節軟骨と呼ばれる軟骨が付いています。
その軟骨は水分を含んでおり、一定の弾力があるため関節にかかる負荷に耐えることができます。
しかし、加齢に伴い軟骨の水分含有量が低下すると軟骨の弾力が失われ、軟骨が破壊されやすくなります。
すると、骨を守る軟骨がなくなってしまうため骨が削られたりして変形していきます。
さらに女性に限っては、閉経後に骨を強く硬くするためのエストロジェンという卵巣から分立されるホルモンが著しく減るため、骨そのものが脆くなるため、男性よりも変形しやすくなっています。
こういった全身的な要因に加えて、肥満(関節にかかる物理的負荷の増加、脂肪細胞は炎症が起こりやすい)や関節の過度な反復使用(関節に負荷がかかる機会の増加)の直接的(局所的)な要因によって変形が進行します。
この関節の変形は元の正常な状態に戻ることはありません。
これを専門用語で「不可逆的変化」と言います。
つまり、「変形が始まったら、痛みや炎症を軽減させて進行を遅くする」ということしかできません。
そのため、「いかに早い段階で治療を始めるのか」が鍵になってきます。
初期の「目に見えた変形がなく痛みや炎症が軽度である」タイミングで治療を行えば生活に支障が出にくいですし、変形が十分に進行して「目に見えて明らかに変形し痛みや炎症が強い」タイミングで治療を始めるとどうしても生活での支障は残ります。
要するに、初期の「なんか最近痛い気がする」を無視してはいけないということです。
例えば、膝の変形が進むとわずかな段差(カーペットのふちのような段差とも言えないような段差)でも足が引っかかって転びやすくなり、そのレベルまで変形が進行すると人工関節に変えるための手術を受ける必要が出てきます。
私としては何としてでも変形が進む前に痛みや炎症を抑えたいと考えています。
当院の場合、炎症を抑えるために電気治療や超音波治療を行い、それに加えて関節の位置関係の修正や電気刺激を用いての筋力増強を図ります。
変形初期はもちろん、目に見えて変形が進行している場合でも“痛みや腫れ”であれば大幅に軽減することができます。
しかし、変形が進行してしまった場合、いかなる手段を用いても変形は戻せないので、変形に伴う関節の動きの悪さや見た目は変化させることはできません。
(痛みや腫れによる動きの悪さに関しては変化可能で、腫れが引くことによって見た目が変化することはある)
いずれの変形も、放置していいものではないため治療を受けることをオススメします。
治療院によっては、治療では変えられない部分であるにもかかわらず、「何とかします」「一緒に頑張りましょう」などの薄い言葉で淡い期待を抱かせて抱え込むという悪質な営業をするところもあるので、甘い言葉には注意しましょう。
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