肩関節可動域制限の要因
●凍結肩
好発年齢:40〜60歳代
拘縮進行期(炎症期):疼痛による可動域制限が主体。運動時痛のみならず安静時痛・夜間痛も出現。
拘縮期:拘縮による可動域制限が主体。疼痛は徐々に減少していく。
腱板疎部を補強する烏口上腕靱帯や関節包に新生血管が形成され線維芽細胞が増殖した結果、関節包や靱帯が肥厚・線維化し拘縮が起こる。(特に烏口上腕靱帯)
●二次性拘縮
腱板断裂や石灰性腱板炎などに続発して生じる拘縮、骨折・脱臼や外科手術によって一定期間の固定後に発生する拘縮を指す。
可動域制限とその制限因子
●関節包による制限
線維化した関節包による制限。
外転時外旋:前下方の関節包の拘縮
下垂位外旋:前上方の関節包の拘縮
外転時内旋:後下方の関節包の拘縮
下垂位内旋:後上方の関節包の拘縮
*肩関節挙上時は上腕骨に自然な外線が生じるため、挙上可動域制限に対しては屈曲や外転と共に外旋に対するアプローチも必要。
●靱帯による制限
伸張性の低下した靱帯も可動域制限因子となる。
外旋および伸展制限:烏口上腕靱帯・上関節上腕靱帯
外旋および外転制限:前下関節上腕靱帯
内旋および外転制限:後下関節上腕靱帯
●筋による制限
肩関節周囲筋の伸張性低下や防御性収縮も可動域制限因子となる。
(各筋の運動作用と拮抗方向の可動性を制限)
外旋制限:大胸筋・肩甲下筋・大円筋
内旋:棘下筋・小円筋
内転:三角筋・棘上筋
挙上:広背筋・肩甲下筋・棘下筋・小円筋
●疼痛による制限
凍結肩において、拘縮進行期(炎症期)は特に疼痛による可動域制限をきたしやすい。
拘縮進行期(炎症期)では関節上腕靱帯や腱板疎部の炎症により侵害性疼痛が生じる。
他動運動より自動運動が制限される。
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