「ばね指」ってなに?
みなさん「ばね指」という名前を聞いたことはあるでしょうか?
聞いたことのない人の方が多いのではないかと思いますが、当院でも相談される機会の多い病気なので、今回はこの「ばね指」についてお話ししていこうと思います。
まず「ばね指」とは正式名称を「弾発指」といい、「手の指を曲げ伸ばしするときに引っ掛かりや痛みが起こる、腱鞘炎の一種」のことをいいます。
男性よりも女性に多く発症し、更年期以降や産前産後、糖尿病のある方や手を酷使する方などに起こりやすい病気です。
なぜこれらの人に発症しやすいかは後述します。
一般的な治療法として、病院では基本的には薬を用いた治療が選択されますが、それでも治りにくい場合(難治性)は手術が選択されることもあります。
当院では当然薬は使えないため、炎症を抑えるためや血流量を増やすために電気や超音波などの治療器を用いた治療を実施したり、背骨などの骨格の調整しています。
もちろん病院での治療でも接骨院での治療でも共通して言えることですが、「これをやれば必ず治る」という治療はないので、短期間で治る場合もあれば長期間の治療でも治らないこともあります。
(ばね指に限った話ではないですが)
そもそもなぜ指の曲げ伸ばしで引っ掛かりが起こるのかというと、指を動かすときに指を曲げるための腱とそれを包む腱鞘で摩擦が起こり、それによって炎症が起こることで腫れて引っ掛かりが起こるようになります。
ばね指が起こりやすいのは特に親指・中指・薬指の付け根です。
ばね指の初期症状は一般的に「指のこわばりや違和感」で特に「朝に強く感じるこわばり」が大きな特徴となります。
「朝のこわばり」は関節リウマチと症状が似ているので、「朝起きたときに指がこわばる」と感じた方は一度整形外科を受診するといいかもしれません。
関節リウマチとの違いとしては、関節リウマチは左右対称に発症する場合が多いですが、ばね指は左右非対称に発症します。
ばね指は前述のように「男性より女性に多く発症」「更年期以降や産前産後に多い」「糖尿病患者も発症しやすい」という特徴があり、ばね指の発症には「女性ホルモン」「血流」が大きく影響していると思われます。
更年期以降や産前産後は女性ホルモンの分泌量が減少したり不安定になり、女性ホルモンの減少により筋力や骨密度が低下するだけでなく腱や腱鞘が脆く傷つきやすい状態になるため、炎症が起こりやすくばね指になるリスクが上がります。
また、糖尿病は動脈硬化や抹消の血流量の減少を引き起こすため、ばね指が治りにくかったり重症化しやすくなることがわかっています。
すでに関節リウマチや手根管症候群にかかっている人もばね指を発症しやすいようです。
ばね指の治療やセルフケアでは、腱や腱鞘をターゲットにしたものとあわせて血流や神経の働きを良くするためのものも必要です。
血流が良くなれば、炎症や痛みを引き起こす化学物質(ブラジキニンなど)が取り除かれやすくなり、症状の軽減につながります。
そして、ばね指と血流・神経の働きを考えるときに知っておきたい重要なポイントが「首のトラブル」です。
指先に向かってくる血管や神経は首から伸びています。
首にトラブルがあれば血流や神経の働きは滞り、指先まで十分にいきません。
そんな首のトラブルで一番多いのは「ストレートネック」です。
本来首(頸椎)はやや反るようにカーブしていますが、ストレートネックはこのカーブがなくなりやや前方へ向けて真っ直ぐになってしまいます。
こうなると頭が体の前に出てしまうため、首の後ろ〜背中にかけて筋肉が常に緊張(力の入った状態)しなければいけなくなり、神経が興奮し血流が悪くなります。
そのため、ばね指の治療をするときには神経や血流を考慮して首の治療もあわせて実施します。(当院では)
ちなみに、ストレートネックは別名「スマホ首」ともいわれ、スマホやパソコンなどを使用する頻度の多い現代社会には非常に罹患率の高いものです。
ばね指はその知名度の割には意外と罹患率の高い病気です。
しかし、症状が出始めた初期のうちに治療やケアをスタートすれば、ばね指特有の引っ掛かりが出る前に解決できる可能性が上がります。
また、はっきりと引っ掛かりが出てしまっても、治療をすることで症状を改善することは可能です。
もちろん、症状の程度によっては治療にかかる期間が長くなる場合もありますが、短期間で良くならないからといって途中で諦めてしまったらそこで試合終了です。
病院でも接骨院でもいいので、症状が出始めたら早めに相談するようにしてください。
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