「膝の水を抜くとクセになる」はホント?
みなさんは「膝の水を抜くとクセになる」という話を聞いたことはありますか?
これは実際に患者さんからもご質問いただいたこともありますし、割と多くの方が一度は聞いたことがあるような気がします。
今回は「膝の水を抜くとクセになる」の真実をお話ししましょう。
さて、まずは「膝の水」についてご説明しましょう。
膝に限らず、関節というのは「滑液」というヌメヌメの液体が一定量入っています。
その滑液がいわゆる「水」と言われるものです。
では、滑液はどこからやってくるのでしょうか?
それは、関節を包む関節包という組織の内側にある「滑膜」から分泌され、その役割は「血管のない組織(関節軟骨)に対する栄養補給」「関節の摩擦を減らす」「衝撃吸収」です。
これが適量(膝のような大きな関節で3~5mL、小さな関節では1mL未満)あることで上記の役割を正常に果たすことができますが、関節内部で炎症が起こると滑液が過剰に分泌されるようになります。
過剰に滑液が溜まると関節内部では圧力が高まるため痛みとして感じやすくなるため、整形外科で滑液を抜く、いわゆる「水を抜く」ということがよくされます。
では、「水を抜く」ことで「クセになる」のでしょうか?
そもそも水=滑液が過剰に溜まるのは関節内部に炎症が起こっているからです。
滑液が過剰に分泌される原因である炎症に対処しなければ、どれだけ滑液を抜いてもまた滑液は溜まっていきます。
つまり、「水を抜くからクセになる」のではなく、「水を抜いた後に炎症に対処していないからまた溜まる」のです。
「何度も繰り返し水を抜いている」という人は、その原因は解決されていないということになります。
水=滑液が悪者なのではなく、その原因となる炎症が悪者なのです。
というわけで、「膝の水を抜くとクセになる」は間違いということになります。
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